テル先生の新ジャズ理論研究

スタンダード曲を新しい解釈で演奏したり、ジャズメンの曲を弾く時、従来の理論では理解出来ないことが多くあります。現代のジャズを演奏するには新しい理論を取り入れる必要があります。自分の音楽レベルを向上させたい人は新ジャズ理論を学びましょう。

トライアド・ペアー

前回(昨日)に引き続き本日も
クリスマスなので豪華プレゼントを用意した。
前回プレゼントの応用編になる。

今回のテーマは「トライアド・ペアー」。
2つの3和音(トライアド)を組み合わせて
アドリブする方法だ。
従来のアドリブとはまったく違う結果になる
新しい考え方だ。

「どんな感じか?」というと、以下のようなイメージ。
スタンダード曲にペンタトニックのパターンを応用すると
モード曲のようになるよね。
ペンタトニックは5音音階だけれど
トライアド・ペアーは6音音階(へクサトニック)になるので
1音増えただけで可能性も広がる。
このテーマだけで1冊の教則本が書ける程で、
実際に海外では専門の教則本が何冊かある。

スタンダード曲で使えるので全員対象の話になる。

あなたは今後一生退屈しない日々を過ごせるだろう。

        ☆

前回ちょうど「C」と「B」が出て来たので、
これを例にして説明する。

まず基本練習として2つの3和音を交互に
分散和音にして練習する。

上から下へ
「ミ、ド、ソ、♯レ、シ、♯ファ
ド、ソ、ミ、シ、♯ファ、♯レ
ソ、ミ、ド、♯ファ、♯レ、シ~」
これを逆から上がっていくなど、
いくつか基本練習を考えるといい。

次にコードトーンの順番を入れ替えると
以下のような可能性がある。

「C」のトライアド(3和音)
1,3,5(ド、ミ、ソ)
1,5,3(ド、ソ、ミ)
3,1,5(ミ、ド、ソ)
3,5,1(ミ、ソ、ド)
5,1,3(ソ、ド、ミ)
5,3,1(ソ、ミ、ド)

上記は基本形(ド、ミ、ソ)が大元なので、
第1転回形(ミ、ソ、ド)と
第2転回形(ソ、ド、ミ)を大元にした表は
は自分で作ろう。

「B」トライアド(3和音)
1,3,5(シ、♯レ、♯ファ)
1,5,3(シ、♯ファ、♯レ)
3,1,5(♯レ、シ、♯ファ)
3,5,1(♯レ、♯ファ、シ)
5,1,3(♯ファ、シ、♯レ)
5,3,1(♯ファ、♯レ、シ)

上記は基本形(シ、♯レ、♯ファ)が大元なので、
第1転回形(♯レ、♯ファ、シ)と
第2転回形(♯ファ、シ、♯レ)を大元にした表は
は自分で作ろう。

上記を自由に組み合わせると無限大に作れるので
気に入った組み合わせを練習して使うといい。

       ☆

トライアドペアーを普段演奏しているスタンダード曲に応用しよう。

Dm7(ドリアン)
「Dm」と「Em」、「F」と「G」
G7(ミクソリディアン)
「Dm」と「Em」
CM7(リディアン)
「C」と「D」、「Em」と「D」

その他、いろいろなコード(スケール)で応用して
今までとまったく違うアドリブ・スタイルを体験しよう。

あなたはまだまだ変身(上達)出来る!
もう一生退屈なんかしない。

健闘を祈る。

最新ジャズ・スタイル体験

今日はクリスマス・イブなので
あなたに特別プレゼントを贈る。

新しいジャズコードの押さえ方と
新しいアドリブ方法を詳しく教えるので、
最先端のジャズ・ピアニストになった気分を
体験してほしい。

では始めよう!

最初に「B/C」を紹介しよう。
「ド、ミ、ソ、シ、♯レ、♯ファ」
下3声が「ド、ミ、ソ」
上3声が「シ、♯レ、♯ファ」
リッチー・バイラークやデイブ・リーブマンの曲に
よく出て来るコードだ。

       ☆

「B/C」のスケールは、どうなるのだろう?
2つの3和音のコード・トーンを「ド」から並べると
「ド、♯レ、ミ、♯ファ、ソ、シ」になる。
これは「へクサトニック」(6音音階)だね。
このスケールでアドリブするのが1つの方法。

ところがほとんどの人はペンタトニックは使うけれど
へクサトニック・スケールは慣れてないよね。
そこでこのスケールをよく見ると
「ソ」と「シ」の間が長3度開いているので
「ラ」を入れてみる。
「ド、♯レ、ミ、♯ファ、ソ、ラ、シ」になる。
このスケールなら最近見たことがあるでしょう?
「CM7(♯9、♯11)」のコードで
スケールは「リディアン♯9」だよね。
ペアレント・スケールは「Eの和声的短音階」
「ミ、♯ファ、ソ、ラ、シ、ド、♯レ」になる。
このスケールなら、なんとかアドリブ出来そうだね。

基本のコードは次のように考えてもいい。
「EmM7(ベースC)」
「ミ、ソ、シ、♯レ」(ベースC)
と考える。
さらに「GM7(♯5)/ベースC」
「ソ、シ、♯レ、♯ファ」(ベースC)
と考えてもいい。
以上のコードを8分音符の分散和音で上行下行を練習する。
次にこれらの音を使ってフレーズを作る。

<アドリブ方法のまとめ>
1.へクサトニック・スケール。
「ド、♯レ、ミ、♯ファ、ソ、シ」を使う。
2.「C」と「B」の分散和音を交互に弾く。
3.「Eの和声的短音階」を使う。
「ミ、♯ファ、ソ、ラ、シ、ド、♯レ」
4.「ミ、ソ、シ、♯レ」でフレーズを作る。
5.「ソ、シ、♯レ、♯ファ」でフレーズを作る。
6.その他の方法を自分で考える。
(ここが重要。独自のスタイルになる)

      ☆

<左手コードはどう弾くの?>
中央の「C」から2オクターブ下の「ド、ソ」を
ガーンと弾いてから、1番簡単なのは
左手コード音域で「CM7」(ド、ミ、ソ、シ)を弾く。
次に中央の「C」から2オクターブ下の「ド、ソ」を
弾いてから「EmM7」(ミ、ソ、シ、♯レ)を弾く。

もっと強烈なコードを弾きたい人は左手音域で
「ド、♯ファ、シ」または「♯ファ、シ、ミ」を弾く。
2つのコードを交互に弾きたい人は
「♯ファ、シ、ミ」前後のコード。
「ミ、ラ、♯レ」と「♯ファ、シ、ミ」または
「♯ファ、シ、ミ」と「ソ、ド、♯ファ」を弾く。
さらに「♯ファ、シ、ミ」を中心に
上記3つのコードを行ったり来たりする。

以上の方法で右手アドリブ、左手コードで
しばらく遊んで(弾いて)いれば
なんとなく感じをつかむはずだ。
これで最先端のジャズ・ピアニスト気分になる?(と思う)

「では健闘を祈る」
「メリークリスマス!」

新ジャズ理論のスケール表(その2)

スケール表(2)を作りましたので
学習の参考にして下さい。

従来のスケール表(その1)は
「長音階から派生するスケール」
「和声的短音階から派生するスケール」
「旋律的短音階から派生するスケール」
上記のスケールをまとめた表でしたが
今回のスケール表(その2)は
「和声的長音階から派生するスケール」
を加えた範囲(28種類)のスケール表です。

<メジャー7thグループ>
「アイオニアン」(長音階)
「アイオニアン♭6」(和声的長音階)
「アイオニアン♯5」
「リディアン」
「リディアン♯5」(リディアン・オーグメント)
「リディアン♯9」
「リディアン♯5、♯9」

<マイナーM7グループ>
「メロディック・マイナー」(旋律的短音階)
「メロディック・マイナー♯11」
「ハーモニック・マイナー」(和声的短音階)

<ドミナント7thグループ>
「ミクソリディアン」
「ミクソリディアン♯11」(リディアン♭7)
「ミクソリディアン♭9」
「ミクソリディアン♭13」
「ミクソリディアン♭9、♭13」(HmP5下)
「オルタード」
「オルタード♮5」

<マイナー7thグループ>
「ドリアン」
「ドリアン♭9」
「ドリアン♯11」
「エオリアン」
「フリジアン」

<マイナー7th(♭5)グループ>
「ロクリアン」
「ロクリアン♮9」
「ロクリアン♮13」
「ロクリアン♮9、♮13」

<ディミニッシュ7thグループ>
「Hmm2上」(仮の名、半音上のHm)
「HMm2上」(仮の名、半音上のHM)
注、近い内に名前を変える予定。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

各スケール名を見ただけで構成音がすぐにわかると思います。
と言っても、すぐにはわからない人もいるでしょう。
その原因は基準になるスケールがよくわかっていないからです。
どういうことかと言うと~
「長音階から派生するスケール」(ドリアン、リディアンなど)
を12キーで完璧に覚えている人なら新スケール名を見ただけで
どんな構成音のスケールか12キーでも瞬間的にわかります。
瞬間的にわからない人はこの機会に復習して
まず基準になる基本スケールをしっかり覚えましょう。
そうすると新しいスケールはまだ使えなくても
普通のジャズ演奏が楽に演奏出来るようになると思います。

和声的長音階から派生するスケール

今回は、
「ハーモニック・メジャー」(和声的長音階)
から派生するスケールを学びます。
「ハーモニック・マイナー」(和声的短音階)
ではありませんので注意して下さい。

あなたは「和声的長音階」を知っていましたか?
海外のジャズ理論書には出て来るのですが、
国内のジャズ理論書には出て来ません。
同じ国内の和声学には出て来るのですが…。
(不思議ですね?)

「和声的長音階(ハーモニック・メジャー)」は
以下のようなスケールです。

「C の和声的長音階(ハーモニック・メジャー)」
「ド、レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ、シ、」

「和声的長音階」という名前よりも
ジャズ学習者は「アイオニアン♭6」
(または「♭13」)の方が覚えやすいですね。

        ☆

「C の和声的長音階」の第2音から弾くと
「レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ、シ、ド」になります。

これが<D ロクリアン♮2、♮6>ですが、
テンション名の方がわかりやすい人は
<D ロクリアン♮9、♮13>でもいいです。

このスケールは「ドリアン♭5」でもいいのでは?
と思った人がいるかもしれませんが、
コード・トーンが「Dm7(♭5)」なので
ロクリアンのグループに入れた方がいいですね。

Dm7(♭5)
<D ロクリアン♮9、♮13>
「レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ、シ、ド」

以下同じように~

E7
<E オルタード♮5> 
「ミ、ファ、ソ、♯ソ、シ、ド、レ」
普通の「ALT」は「♭5」ですが、
この「ALT」は「♮5」です。
注、「♭5」を「♯11」と
書いてあるジャズ理論書もありますが、
このブログでは「♭5」にしています。
その理由はいくつかあるのですが
長くなるので今回は説明を省略します。
簡単に言うと「C7」の代理コードは
「G♭7」で「F♯7」ではないからです。

FmM7(♯11)
<F メロディック・マイナー♯11>
「ファ、ソ、♭ラ、シ、ド、レ、ミ」

G7(♭9)
<G ミクソリディアン♭9>
「ソ、♭ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ」

A♭M7(♯5、♯9)
<A♭リディアン♯5、♯9>
「♭ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ」
「LYD.AUG♯9」でもいいです。

Bdim7
<B HMm2上>(仮の名前、半音上のHM)
注、このスケール名は問題があるので後日変更予定です。
「シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ」

注、以上の<スケール名>は人によって違います。
ジャズ理論書の著者によっても少しずつ違います。
テル先生がなぜこのようなスケール名を選んだのか、
その理由は、
各スケール名を見ただけで構成音がすぐにわかるからです。

<課題1>
以上の各スケールを「C音(ド)」から始めて書きましょう。

<課題2>
「C音」以外のすべての音から各スケールの構成音が
すぐわかるようにしましょう。
一般的なジャズ理論書にある
「長音階から派生するスケール」を
完璧に覚えている人ならスケール名を見ただけで
どんな構成音のスケールか瞬間的にわかりますよね。
瞬間的にわからない人は実戦で使えませんので
この機会に復習して基本スケールをしっかり覚えましょう。

チックコリアが使うdimスケール

前回までに紹介した新ディミニッシュ・スケールを
チック・コリアも使っていますので、
今回はその報告です。

このブログのタイトル「新ジャズ理論」と言っていますが
外国では何十年も前から理論書が何冊も出ています。

なぜか日本ではほとんど知られていないので、
その意味で「新」と付けましたが、
現在ジャズを演奏する人は知っていて当然の理論ですので
このブログの内容はジャズ演奏者全員が対象の理論です。

あなたもぜひ学んで下さい。

では始めましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

チック・コリアの有名なオリジナル曲に
「Armando's Rhumba」という曲があります。

キーは「Cm」ですので「♭3つ」です。
この曲で「Adim7」が出て来るのですが、
アドリブの時に「B♭」の音が経過音で出て来ます。
もし日本の理論書のように「全-半」を使うなら、
ここは「B」でないといけないことになります。

もう1つあります。
今度は「A♭dim7」で「C」の音が経過音で出て来ます。
これも日本の理論書に従うなら「C♯」でないといけません。

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今回は細かいことはどうでもいいです。
今回の話のポイントは、
外国ではアマチュアでも学べる理論が
日本では、ほとんど知られていない。
それではスタンダード曲を新しいスタイルで演奏したり
ジャズメンの曲やアドリブを理解することが出来ません。

このブログを知ったあなたはぜひ新理論を学んで下さい。
そしてジャズ仲間や友達に新解釈を教えて下さい。

新ディミニッシュ・スケール(2)

今回は前回の解答編なので前回を読んでいない人は
前回の記事を読んでからこの解答編を読んで下さい。

今回もジャズを学んでいる人「全員」が対象です。

新しいジャズ・スタイルを学びたい人、
スタンダード曲を演奏したい人、
自分の音楽を進歩向上させたい人、
すべての人が対象です。

特に今回の新解釈は従来のジャズ理論よりも
普通のジャズ・スタイルにピッタリ当てはまります。

では始めましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

前回の最後に出した課題は

|CM7|Bdim7|CM7|

この「Bdim7」のスケールは?

1,全音-半音スケール?
2,<Hm m2上>?
3,それとも第3のディミニッシュ・スケール?

答えは3番。
第3のディミニッシュ・スケールがあります。
具体的には以下のようなスケールです。

「シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ」

前回のスケール<Hm m2上>と
どこが違うのでしょう。
比べてみましょう。

今回のディミニッシュ・スケール
「シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ」

前回のディミニッシュ・スケール
「シ、ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、♭ラ」

前回の「♭ミ」が今回は「ミ」になっていますね。

これは当然です。
前回はキーCmで「Bdim7」の次に「Cm」があるので
「♭ミ」になります。
今回はキーC(メジャー)で次のコードが「CM7」なので
「ミ」になります。

前回のディミニッシュ・スケールは
「Bdim7」の各コードトーン
「シ、レ、ファ、♭ラ」の間に
「Cm」(3和音「ド、♭ミ、ソ」)
が入っていますね。
「シ、ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、♭ラ」

今回のディミニッシュ・スケールは
「Bdim7」の各コードトーン
「シ、レ、ファ、♭ラ」の間に
「C」(3和音「ド、ミ、ソ」)が入っています。
「シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ」

今回のディミニッシュ・スケールの名前ですが
<HM m2上>(仮の名前)と言いますのでよろしく。
読み方は「短2度(m2)上の和声的長音階(HM)」です。
注,和声的短音階ではありません。

このスケールはまだ紹介していませんが、
今後ペアレント・スケールとして登場して、
ここからまた6人の子供が生まれますので
お楽しみに!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここで課題です。

従来のジャズ理論を学んだ人は
「パッシング・ディミニッシュ」を知っていますよね?

<キーC>を例にすると
以下のディミニッシュ・コードが出て来ましたね?

C♯dim7、D♯dim7、F♯dim7、G♯dim7、

さて、このディミニッシュ・コードに
以下のスケールどれを使いますか?

1,全音-半音スケール?
2,<Hm m2上>?
3,<HM m2上>?

ここまで読んで来たあなたは、
この4つのコードに従来のジャズ理論書に書いてある
全音-半音スケールを使うでしょうか?

<ヒント>
この4つのコードだけ見ていても正解はわかりません。
これらのコードが次に何のコードに行っているのか?
「パッシング・ディミニッシュ」を完全に理解している人は
すぐに答えがわかりますね。
もし、まったくわからない人がいたらジャズ理論書の
「パッシング・ディミニッシュ」の項目をよく読んでから
再び挑戦してみて下さい。必ずわかります。
それから今回の記事の中にもヒントがありますよ。

新ディミニッシュ・スケール(1)

今回はジャズを学んでいる人全員が対象です。
新しいジャズ・スタイルを学ぶ人、
普通のジャズが好きな人、
すべての人が対象です。

特に今回の話は従来のジャズ理論よりも
普通のジャズ・スタイルにピッタリ当てはまります。

では始めましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

あなたはディミニッシュ・コードが出て来たら
どんなスケールを使いますか?
同じ名前の付くコンビネーション・ディミニッシュ
と答える人はいないと思いますが、
そのスケールは7thコードに使うスケールですね。

質問はディミニッシュ・コードのスケールです。

従来のジャズ理論を学んだ人はすぐに答えられますね?
ところがディミニッシュ・コードのスケールは
何種類かあることを知っていますか?
しかも、そちらのスケールの方が
オーソドックスなジャズにはピッタリ当てはまるのです。

さて、ここからが本題です。

従来のジャズ理論書を読むとディミニッシュ・コードには
「全音-半音のスケールを使え」と書いてありますね。

例えば「Bdim7」が出て来たら
「シ、♯ド、レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ、♭シ」で
全音-半音が交互に繰り返されていますね。
しかも普通のスケールは7音ですが、
このスケールは8音あるのが特徴です。

ここで実験です。
次のコード進行を弾いて、
このディミニッシュ・スケールを弾いて下さい。

|Cm|Bdim7|Cm|

いきなりディミニッシュ・コードを弾かないで下さい。
まず「Cm」のコードを弾いてから
次に「Bdim7」のコードを弾いて、
全音-半音スケールでゆっくり上行して
次にゆっくり下がって来て
最後に「Cm」のコードを弾きます。

「どうでしょう、感想は?」
「何か違和感を感じましたか?」

ぜひ、あなたの耳で確認して下さい。

上行型は違和感を感じないと思います。
なぜかと言うと、
「♯ド」は「レ」に半音下から解決する
アプローチ・ノート、
「ミ」も同じく「ファ」の半音下の
アプローチ・ノートのように聞こえるからです。

ところが下行形の「ミ」から「レ」、
「♯ド」から「シ」は違和感ありませんか?

違和感がある人も、ない人も次のスケールで
同じ実験をしてみて下さい。
今度は次のディミニッシュ・スケールを使います。

「シ、ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、♭ラ」
今回は7音スケールです。
このスケールで同じ実験をすると
問題の下行形「ミ-レ」よりも「♭ミ-レ」
「♯ド-シ」よりも「ド-シ」の方が合うと思いませんか?
当然ですよね。
キーは「Cm」なのですから
「ミ」よりも「♭ミ」の方が合います。
「♯ド」は「Cm」のスケールにない音なので
「ド」の方が合います。

このスケールが前回のスケール比較表の最後に出て来た
<Hmm2上>(仮の名)です。
略号の意味は
Hm=和声的短音階
m2上=短2度(半音)上
つまり「半音上の和声的短音階」です。

~~~~~~~~~~~~~~

では宿題を出しましょう。
同じように実験をして下さい。

|CM7|Bdim7|CM7|

この「Bdim7」のスケールは?

1,全音-半音スケール?
2,<Hmm2上>?
3,それとも第3のディミニッシュ・スケール?

スケール比較表(その1)

前回は今までに学んだスケール表を作りましたが
今回はさらに「数字」と「ド、レ、ミ」を加えた
各スケールの比較表を作ったので
さらにわかりやすくなったと思います。
ぜひ学習の参考にして下さい。

長音階から派生するスケールが基準になりますので
それらのスケールは確実に演奏出来るようにしましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここから全員に大切な話をします。
あなたの音楽が飛躍的に進歩する話です。
新ジャズ理論や新しいスタイルのジャズに
興味がない人も頭の体操として(ゲーム感覚で)
楽しんで参加することをお薦めします。

その理由は、単純な例で説明しますね。

例えば3種類のドリアンを知っている人は、
普通のジャズを演奏する時には大元の
「ドリアン」だけを使えばいいのですから、
余裕で演奏出来ます。
ところが大元の「ドリアン」しか知らない人は、
それすらいい加減に覚えている人が多数います。
「えーと、ドリアンは全音下の長音階だから~」
などという<いい加減な覚え方>です。
「これはダメです」と
前回「素晴らしい物語」を例にして話しましたね。
<ドリアン♭9>や<ドリアン♯11>を覚えるには
大元の基準になる<ドリアン>を余計な事は考えずに
ルートから即座に弾けないといけません。
今までいい加減な覚え方をしていた人も
これを機会に復習、猛練習をすればいいのです。
スケール練習が嫌になって挫折しそうな時の対策まで
前回話しましたよね!?

スタンダード曲を新しいスタイルで演奏したい人、
その他、ジャズを演奏する人全員が頭の体操として
(ゲーム感覚で)楽しんで挑戦して下さい。

きっと今よりもあなたの音楽が進歩発展するはずです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~メジャー7thグループ~
<アイオニアン>(長音階)
「1,2,3,4,5,6,7」
「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ」
<アイオニアン♯5>
「1,2,3,4,♯5,6,7」
「ド、レ、ミ、ファ、♯ソ、ラ、シ」

<リディアン>
「1,2,3,♯4,5,6,7」
「ド、レ、ミ、♯ファ、ソ、ラ、シ」
<リディアン♯5>(リディアン・オーグメント)
「1,2,3,♯4,♯5,6,7」
「ド、レ、ミ、♯ファ、♯ソ、ラ、シ」
<リディアン♯9>
「1,♯2,3,♯4,5,6,7」
「ド、♯レ、ミ、♯ファ、ソ、ラ、シ」

~マイナーM7グループ~
<メロディック・マイナー>(旋律的短音階)
「1,2,♭3,4,5,6,7」
「ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、ラ、シ」
注、ジャズでは下行形は上行形と同じになる。

<ハーモニック・マイナー>(和声的短音階)
「1,2,♭3,4,5,♭6,7」
「ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、♭ラ、シ」

~ドミナント7thグループ~
<ミクソリディアン>
「1,2,3,4,5,6,♭7」
「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、♭シ」
<ミクソリディアン♯11>(リディアン♭7)
「1,2,3,♯4,5,6,♭7」
「ド、レ、ミ、♯ファ、ソ、ラ、♭シ」
<ミクソリディアン♭13>
「1,2,3,4,5,♭6,♭7」
「ド、レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ、♭シ」
<ミクソリディアン♭9、♭13>(HmP5下)
「1,♭2,3,4,5,♭6,♭7」
「ド、♭レ、ミ、ファ、ソ、♭ラ、♭シ」

<オルタード>
「1,♭2,♭3,♮3,♭5,♭6,♭7」
「ド、♭レ、♭ミ、♮ミ、♭ソ、♭ラ、♭シ」

~マイナー7thグループ~
<ドリアン>
「1,2,♭3,4,5,6,♭7」
「ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、ラ、♭シ」
<ドリアン♭9>
「1,♭2,♭3,4,5,6,♭7」
「ド、♭レ、♭ミ、ファ、ソ、ラ、♭シ」
<ドリアン♯11>
「1,2,♭3,♯4,5,6,♭7」
「ド、レ、♭ミ、♯ファ、ソ、ラ、♭シ」
<エオリアン>
「1,2,♭3,4,5,♭6,♭7」
「ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、♭ラ、♭シ」
<フリジアン>
「1,♭2,♭3,4,5,♭6,♭7」
「ド、♭レ、♭ミ、ファ、ソ、♭ラ、♭シ」

~マイナー7th(♭5)グループ~
<ロクリアン>
「1,♭2,♭3,4,♭5,♭6,♭7」
「ド、♭レ、♭ミ、ファ、♭ソ、♭ラ、♭シ」
<ロクリアン♮9>
「1,♮2,♭3,4,♭5,♭6,♭7」
「ド、♮レ、♭ミ、ファ、♭ソ、♭ラ、♭シ」
<ロクリアン♮13>
「1,♭2,♭3,4,♭5,♮6,♭7」
「ド、♭レ、♭ミ、ファ、♭ソ、♮ラ、♭シ」

~ディミニッシュ7thグループ~
<Hmm2上>(仮の名)
このスケールだけは数字で書くと複雑過ぎるので
今回は省略して次回詳しく説明する予定です。

略号の意味は
Hm=和声的短音階
m2上=短2度(半音)上

新ジャズ理論のスケール表(その1)

このブログは始まったばかりですが、
現時点でのスケール表(1)を作りましたので
学習の参考にして下さい。

従来の「長音階から派生するスケール」に
「和声的短音階から派生するスケール」
「旋律的短音階から派生するスケール」
を加えた範囲(21種類)の仮のスケール表です。

近い将来には<この倍以上>になりますので、
スケール表も(その2)(その3)と変化していきます。

注.「長音階から派生するスケール」が
よくわかっていない人は、今日から復習して下さい。
今後これらのスケールを基準にして話が進みますので
スケール名を見ただけで即座にスケールを弾けるようにしましょう。

例えば「A♭のミクソリディアンは?」と言われて、
「えーと5度下の長音階は…?」
などと考える人は失格です。
余計なことは考えずに
A♭の音から即座にスケールを弾けなければ
使いものになりません。
そんな安易な方法はダメです。
いいですか、よく考えて下さい。

      ☆

今、あなたはジャム・セッションに参加しています。
参加メンバーから「この曲をお願いします」と言われて
あなたの知らない曲が即座に始まってしまいました。
そして、ついにあなたのアドリブの番が来ました!
いきなり「A♭7」と書いてあります。
「さあアドリブです」という場面で、あなたは~
「えーと、A♭のミクソリディアンは…?
5度下の音は…?あ、そうだ(D♭)だから、
その長音階を考えてから、さらに元のA♭の音に戻って、
えーと、それを並べ替えると…?」
「もしもし、あなた!大丈夫ですか?
曲はどんどん進んでいるのですけれど…。
みんなはもう8小節目を演奏していますよ」

さあ、次に「D♭m7」が出て来ました。
あなたはさらに考えます。
「えーとD♭のドリアンは…?
1音下の「C?」いや「C♭?」いやいや「B?」
あ~、もうわかんないやあ~」
「もしもし亀さんよ~(あ、間違えた!)
もしもし、あなた!大丈夫ですか?
曲はどんどん進んでいるのですけれど…。
みんなはもう32小節目を演奏していますよ」
(テル先生の名作劇場 ~完~ )

<こんなおバカな話があるでしょうか?>

スケール名を見たら余計なことは考えずに
そのルートから即座にスケールを弾けなければ
使いものになりません。
多くの人がそんな安易な方法をやっています。
もしあなたが今日までそんなやり方をしていたら、
本日から正統派の真面目な道を歩んで下さい。
上記の素晴らしい物語の主人公にならないように
お願いしますね。

もしスケール練習が嫌になった時、
この<素晴らしい物語>を思い出して下さい
きっと練習が楽しくなりますから…。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<新ジャズ理論のスケール表>(その1)

<メジャー7thグループ>
「アイオニアン」(長音階)
「アイオニアン♯5」
「リディアン」
「リディアン♯5」(リディアン・オーグメント)
「リディアン♯9」

<マイナーM7グループ>
「メロディック・マイナー」(旋律的短音階)
「ハーモニック・マイナー」(和声的短音階)

<ドミナント7thグループ>
「ミクソリディアン」
「ミクソリディアン♯11」(リディアン♭7)
「ミクソリディアン♭13」
「ミクソリディアン♭9、♭13」(HmP5下)
「オルタード」

<マイナー7thグループ>
「ドリアン」
「ドリアン♭9」
「ドリアン♯11」
「エオリアン」
「フリジアン」

<マイナー7th(♭5)グループ>
「ロクリアン」
「ロクリアン♮9」
「ロクリアン♮13」

<ディミニッシュ7thグループ>
「Hmm2上」(仮の名)

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長音階、旋律的短音階、和声的短音階は
大元のスケールになりますので
ペアレント・スケールといいます。
「親」ですね。
それぞれの「親」から生まれた子供が
派生したスケールになります。
3人の親からそれぞれ6人の子供が生まれましたので
合計21人の大家族になりました。
ひとりひとりの性格(スケールの特徴)を覚えて下さい。
とても簡単に覚えられます。

例えば
「ドリアンさん」と「ドリアン♭9さん」の違いは?
姉妹(兄弟)ですからとてもよく似ているのですが、
「♭9」だけ違うのですね。
この例のようにその人の名前(スケール名)を見ただけで
その人(スケール)の特徴がわかるようになっています。
そのために従来の名前を改名した人が数人いましたよね。

新しいジャズコード(3)

今回は前回からの続きですので、
前回を読んでいない人はその記事を読んでから
今回を読んで下さい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

~前回最初に取り上げたコードは~

CmM7(9,♭13)

コードの押さえ方は下から
「ド、ソ、♭ラ、シ、レ、♭ミ、ソ」
「1,5,♭13,7,9,♭3,5」
そしてこのコードを単純化すると
「CmM7(♭13)」
「ド、♭ラ、シ、♭ミ、ソ」
「1,♭6,7,♭3,5」
になりました。

このコードは以下のように書いてもいい。
「A♭mM7/C(Bass)」
こちらの方が相手に確実に伝わる。
そしてこれが「CmM7(♭13)」の
代表的な押さえ方になるので
12キーで弾いて覚えるといい。

ここまででしたね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回の話は最初(大元)のコードを参考にして
自分独自のコードをいかにして作っていくか?
どのように発展させていくか?
応用方法についてです。

では始めましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「CmM7(♭13)」
「ド、♭ラ、シ、♭ミ、ソ」
「1,♭6,7,♭3,5」
上記のコードを基にして
前回の大元のコードから取って(消して)しまった
「レ=9」をこのコードのオクターブ上に加えます。
以下のようになります。

「ド、♭ラ、シ、♭ミ、ソ、レ」
「1,♭13,7,♭3,5、9」
1番上に「レ=9」が加わりました。
「CmM7(9、♭13)」

このコードを
左手で下3つの音「ド、♭ラ、シ」
右手で上3つの音「♭ミ、ソ、レ」
同時に軽く弾いてみて下さい。

次に下の音からゆっくり分散和音で弾いてみましょう。

いかがですか?
今まで弾いたこともないコードでしょう?
感想は?
美しく感じるか?
何も感じない?
その他?

従来のジャズ理論では考えられない独特のコードを研究し、
それらのコードを使うと新しいスタイルのジャズになります。

このコードがバランスの良い響きになっている特徴があります。
よく分析してみると長7度が3つあることに気が付きます。
「ドとシ」「♭ラとソ」「♭ミとレ」

今後学んでいく新しいスケールから長7度を見付けて使う。
これが独自のコードを作る時の一つのコツかもしれません。

注.この組み合わせが逆になってはいけません。
例えば「ソ」が下にあって「♭ラ」がオクターブ+半音上にあると、
短9度音程になります。
短9度はやってはいけないことになっています。
例外は7thコードの1度と♭9は許されます。

~~~~~~~~~~~~~~~~

もう1つやってみましょう。

「ド、♭ミ、♭ラ、シ、レ、ソ」
このコードも「CmM7(9、♭13)」で
長7度が3つありますね。
「ドとシ」「♭ミとレ」「♭ラとソ」

さらによく見ると
左手「ド、♭ミ、♭ラ」(A♭の第1転回形)
右手「シ、レ、ソ」(Gの第1転回形)
何と分数コード「G/A♭」ではないですか!

~~~~~~~~~~~~~~~~

さらに発展させてみましょう。
上記の2つの3和音は第1転回形でしたが、
基本形にしてベース音C音を加えたら?

ベース音「C音」
左手「♭ラ、ド、♭ミ」(A♭の基本形)
右手「ソ、シ、レ、」(Gの基本形)
「ド|♭ラ、ド、♭ミ|ソ、シ、レ」
「G/A♭/C(Bass)」
何と3段構えの分数コードではないですか!
弾く時は
左手「ド、♭ラ、ド」
右手「♭ミ、ソ、シ、レ」になります。

さらにさらにもう1つバリエーションを~。

上記のコードは「ド」が2つあるので、
上の「ド」を取ります。
「ド、♭ラ、♭ミ、ソ、シ、レ」

この押さえ方でも
下3音は「A♭=ド、♭ラ、♭ミ」(開離)
上3音は「G=ソ、シ、レ」(密集)
弾く時は、左手2音、右手4音になります。
「ド、♭ラ、/♭ミ、ソ、シ、レ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回は、たった1つの複雑なコードから
独自のコードをいくつも作っていく過程を
解説しました。
あなたも独自の(誰も弾いたことがない)
コードを作れるようになると、
人生がバラ色に輝き始めます。

プロフィール

テルさん

ジャズ・ピアノ、ジャズ理論を指導して約60年。と言うとあなたはテル先生の姿を中国の山奥に住む仙人を思い浮かべるでしょう。しかしそれは違います。もう少しだけ若いです。なぜなら10代の時からジャズ教室で教えていたからです。よろしくね!

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